2249人が本棚に入れています
本棚に追加
「そもそも、そこまで到達してない」
と言うと、
「王様、恋愛には弱気だねえ」
と秋成は言う。
「恋愛？
俺が明日香を好きだとでも？」
「好きじゃないのか？」
「わからないが。
毎日、顔は見たいし。
明日香の聞いていると脳が悪くなるような不思議な話をずっと聞いていたい気はしてる」
「……そのセリフ、明日香ちゃんがそっくりお前に返してくると思うけど」
と言うので、
「明日香が俺の顔を見たいという話か？」
と言うと、
「どうしてそこだけポジティブなんだ。
お前の話を聞いていると、訳がわからなさすぎて、脳がかゆくなってくるという話だ」
と言われた。
「まあ、順番は守るよ。
フラれたら言え。
明日香ちゃんに電話するのはそれからにする」
そう秋成は宣言してくる。
彼のこういうところは嫌いではない。
だが、嫌いではないところに、今はハラハラしてしまう。
明日香も彼を好ましく思うだろうと思うからだ。
最初のコメントを投稿しよう！