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その日、研修中の日下部明日香は、人事の人に連れられ、同期のみんなと社内見学をしていた。
普段は入れない研究所にも入れてもらったが、廊下を歩いていても、研究室の中は、ほぼ見られない。
機密事項が多いからだろう。
少し遅れて歩いていた明日香だったが、壁にガラスのフレームに入ったすごく綺麗なポスターが貼ってあるのに気がついた。
すごく綺麗なポスターというか。
そのポスターに写っている白衣を着た男の人が綺麗だったのだ。
目の高さにまで、かかげた試験管を見つめるその瞳は透明感のある不思議な色をしていた。
CGじゃないから、人間だよね、この人。
モデルさんかな?
こんな研究員の人なんて、きっと居ないよね、と偏見に満ちたことを思いながら、眺めていると、その壁面緑化の研究棟の案内をしてくれていた小笠原主任に、
「日下部、何処見てるんだ?」
と話しかけられた。
みんなは先へ行き、人事課長と一緒に事務室の中を見せてもらっている。
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