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そして……
私が支えている熾天使様に突撃して何でもいいから魔界行きの仕事をぶんどっじゃなくて、賜ってきたから魔界にいる
でもさすがにあいつの場所に直行じゃなくて仕事は先に終わらせないとね
あたりが黒い靄で覆われる中をひたすら飛んでいく
上位天使より下の天使ががこのまさに魔界!って場所を歩くと堕ちるか消えちゃうのよね
逆も同じで常に神聖な空気の保たれている天界に悪魔が入ると下級なんてジュワッと溶かされちゃうし
……まだ天使の方がマシなのかも
これから行く場所は前にも行ったバルバートス公のお屋敷
屋敷というより城の方が近いかもしれない
何百人もの悪魔を従えるからこんなもんだってわかるけどねぇ…禍々しいし
門に降り立つと、相変わらずだるそうに門番をしているネズミ頭の悪魔がいた
「そこで止まりなさい…って、あなたは」
「数日前に見た顔ね。また預かってきたのだけれど」
「はい、はい。お通ししますよ。全く…そろそろ魂狩祭が近づいているというのに。因みにですが、あなたはその手紙の中身を知っていますか?」
「へ?なによ急に」
「バルバートス公が自らの領地で行う祭に天使を招待するとか言っているんですよ。
私は何とも思いませんが、まだ前回の戦争の影響がなくなったともいえませんし。かくいう私の友人も伸された方なので見かけたら速攻襲うかも」
「なっなに怖いこと言ってるのよ!そんなことしたら呼ばれた天使がミンチじゃない!」
「だから今話し合ってるんじゃないですか。ほら、その手紙。まさか直接会うわけにもいかないですし。気まぐれほんと怖い。
他の使用人達も言ったんですよ。なにも天界じゃなくてもいいじゃないかって。他に界もあるというのになぜ天使なのか…見目麗しいのは認めますが」
そりゃあ、天使の顔面偏差値は高いところに設定されてるけどね
今目の前を歩いている彼…彼?もネズミだし、そこそこ力がないとちゃんとした人型になれないみたいだし
「こちらにおいでです。終わりましたら部屋の外に待機していますのでお声がけください」
「……ねぇ、なんか話し声聞こえるんだけど入っていいの?」
「あなたがここに来ることは伝えてあるので問題はないかと」
何か言われたらネズミ頭のせいにしようと思いながらノックをしてから返事を待つ
中の会話は途切れたようで静かになり……低く通る声で許可が下りた
「失礼するわ」
部屋の中は何とも蝋燭がいい感じの雰囲気を出している
前触れは出したけどわざわざ演出いる?
さっきちょろっと聞こえた会話、獄界の珍しい絶景スポットの話してるの聞こえてんだからね?
何でそんな話してるのか謎だけど
「来たか。さっさと手紙をよこせ」
「はいはいこれでいいんでしょ?私もこっちで用事があるんだから。もう行っていい?」
「ほう…いつもすぐに天界に帰りたがるお前が魔界に用事と。
ーーお前の用事とはそこにいる引き篭りにか」
赤い爪の指を指した先にあるソファーを見ると、奴がいた
えっ!?
「ちょ、何であんたがここにいるのよ!!」
「は?俺はバルと話にきただけだっつの。何で俺がここにいちゃダメなんだよ」
「いつも誰かから言われないと動かないじゃない」
「あー……まあ、そうだけど。ちょっと俺の所の居候精霊に『そのうち図書館の埃になるんじゃないですか?よかったですねーお仲間がいっぱいですよ!』ってな」
「…変わった精霊ね」
「おう」
キューピットが可愛いわ
世界によって性質も変わるのかしら
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