ひみつの恋

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お兄ちゃんの心臓の音。 生きてる…よかった。 お兄ちゃんが生きていてくれるだけでいい。後は何もいらない。 触れる髪、頬…。命を刻む心臓の音。 重なった胸に、瞳に、生きてるって。 気持ちが溢れてとまらない。 込み上げた涙にお兄ちゃんがくちづけた。 「舞花…愛してる」 わたしもずっと好きだった。 お母さんが言ったことが今ならわかる。 この世で誰よりも失いたくないひと。 そばにいてほしいひと。 素直に想いを伝えなさいって言ってくれたから。 「……わたしも、愛してる」 今、伝えあえた。 心から大好きなひと。 生きていてありがとう。 わたしの大好きなお兄ちゃん。 そうして夜明けまでお兄ちゃんの心臓の音を聞いていた―――
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