275人が本棚に入れています
本棚に追加
お兄ちゃんの心臓の音。
生きてる…よかった。
お兄ちゃんが生きていてくれるだけでいい。後は何もいらない。
触れる髪、頬…。命を刻む心臓の音。
重なった胸に、瞳に、生きてるって。
気持ちが溢れてとまらない。
込み上げた涙にお兄ちゃんがくちづけた。
「舞花…愛してる」
わたしもずっと好きだった。
お母さんが言ったことが今ならわかる。
この世で誰よりも失いたくないひと。
そばにいてほしいひと。
素直に想いを伝えなさいって言ってくれたから。
「……わたしも、愛してる」
今、伝えあえた。
心から大好きなひと。
生きていてありがとう。
わたしの大好きなお兄ちゃん。
そうして夜明けまでお兄ちゃんの心臓の音を聞いていた―――
最初のコメントを投稿しよう!