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大神さんが皮肉そうに笑うと、お兄ちゃんはもっとムッとした。
「亡くなった親父に妹を頼むと言われたからな。嫁に出すまでは俺に責任がある。悪い虫がつかないようにするのが俺の役目だ」
「お兄ちゃん、林くんはそんなんじゃないよ」
「おまえに近づく男がどんな男か見定めただけだ。あいつ、前もおまえと出掛けてたな」
「だって、幼なじみだもん」
お兄ちゃんだって、林くんが幼なじみって知ってるから後は何も言わなかった。
家の前で車から降りて奏さんと榊さんに挨拶をして玄関を上がる。
と、玄関にちゃんと鍵を掛けろと言われてたことを思い出して、リビングから引き返して玄関に鍵を掛けに行くと、マスクをした背の高い男の人が扉の内側に立っていた。
一瞬、目が合った。
1秒、2秒……危機管理を覚えて逃げるよりも早く、背の高い男に後ろから羽交い締めにされた。
背中が凍りつく。
「やっと見つけた」
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