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「どこまで脱げばいいのかな?」  恥ずかしそうな笑香の声に、僕は視線を笑香に向けた。そして、脱いだ制服で前を隠している笑香の体を見てしまう。  僕ははっとした。左肩から胸にかけ、笑香の透明感のある肌が厚い包帯で覆われていた。  頭ではわかっていたものの、いざ実際に目の当たりにすると鋭い痛みが胸を刺す。  僕の代わりに受けた傷。華奢な体に残された、一生消えない僕の傷跡。  僕は自分の頭を深く笑香の前に下げた。 「──ごめん」  僕の嗚咽まじりの声に笑香は驚いたようだった。 「えっ、ちょっと、しろうくん……!」 「ごめん。本当にごめん。──僕のせいだ。ぼくが君をこんな目に遭わせた。一生かけても償いきれない。でも、ぼくは……」  肩を震わせてつぶやくと、笑香の手のひらが頬にふれた。温かい手があふれた僕の涙をそっとぬぐい取る。 「もう、史郎君ったら。泣かないでよ、そんなことで。私はこれで良かったと思ってるんだから」  僕は濡れた顔を上げた。  笑香はいつもの笑顔で言った。 「あなたはいつも私のことを助けてくれた。私はあなたを助けることができて良かった。本当にそう思ってるの」  そして、少し恥ずかしそうな顔をする。 「だって、ちゃんと史郎君が責任を取ってくれるんでしょ?」 「笑香……‼」  僕は震える手を伸ばし、胸を覆った厚い包帯ごと笑香の体を抱きしめた。 「大切にする。約束するよ、もう二度と君を泣かせたりしない。僕が一生、君を守るよ。僕に君を守らせてくれ」  僕は泣きながら笑香の唇を求めた。笑香が僕の首筋に怪我をしていない腕を回す。僕は荒い息を吐き、むさぼるように舌を絡めた。  僕の興奮につられるように笑香が切なげな吐息を漏らした。僕は舌を動かしながらも、あらわになった笑香の素肌にそっと左手をはわせた。腕を上げている笑香の脇にぴたりと手のひらを吸いつかせる。 「んう……!」  反応する笑香を放さず、僕はそのまま手のひらを優しく上の方へと進めた。笑香の下着のラインをたしかめ、指でなぞってホックをはずす。  豊かなふくらみの感触が僕の腕にも伝わった。僕が直接胸にふれると、笑香は僕の唇から唇を振りほどいて言った。 「あ、し、しろうく……!」  緊張を肌で感じるような、弱弱しい、どこか抵抗を隠し切れない笑香の声。  愛撫に慣れないその反応に僕は余計に興奮した。笑香の耳へ舌をはわせて、耳朶を噛みながら熱くささやく。 「大丈夫。僕にまかせて」  リードを取りもどせたことがうれしくて、僕は再び笑香の体を制服の上に押し倒した。
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