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 恥も外聞もかなぐり捨てた僕の心からの懇願に、笑香はその目をしばたたかせた。 「け……軽蔑しないの? こんな、初めてなのに、なんか……」 「するわけないだろ。むしろ、うれしいんだよ。僕の、こんな慣れない──」  そこまで言って、僕はきつく眉をしかめた。まずい。本当に暴発する。せめて、笑香の中に──。  僕は全身に力を入れて、その生理的な衝動を腹の奥へと押し込んだ。  大きく肩を揺らして耐える僕の姿を目の当たりにして、笑香が黒い瞳を見開く。 「史郎君も我慢してるの?」  何とか波を乗り切って僕は深々とため息をついた。 「……当たり前だろ。僕だって初めてなんだ。君と同じだ」  僕のつぶやきに、笑香に柔らかな微笑みがもどった。 「史郎君にも、初めてのことがあるんだね」  僕は自分が全身に汗をかいていることに気がついて、再び過去の自分を呪った。ああ。暖房の入れすぎだ、馬鹿。  僕はぼやいた。 「君とすることは何でも初めてだらけだよ。君も色々と教えてくれ。言ってくれなきゃわからない」  そこまで言って、ズボンのポケットに入れておいたコンドームを探し出す。僕が勃起した自分の物にコンドームをつけていることを知り、笑香があわてて視線をそらした。  何とかスムーズにつけ終わると、僕は再び笑香の隣に横になった。怪我にさわらないようにして、すべすべとした笑香の肌を自分の方へと抱きよせる。 「あ……」  笑香がため息をつくように僕の腕の中でつぶやいた。 「あったかい……」  僕は笑香の唇に再度唇を重ね合わせた。今度は笑香の方がおずおずと、僕の舌先を求めて来る。  僕を欲しがる稚拙な行為に、僕は泣き出しそうなくらいに幸せな気分を味わった。喉に込み上げた嗚咽をこらえ、ぐっと笑香の舌を吸う。  僕は笑香の腰に手を回した。そのまま右手をなめらかな下腹にすべり込ませ、茂みの中に手を入れる。  笑香の体が緊張した。その柔らかい唇を吸ったまま、僕は初めて自信を持って、笑香の秘められた奥をさぐった。  想像したよりはるかに熱く、中から溶け出しているかのような生々しい入り口の感触。割れ目にそって指を動かすと、満ちていた液がとろりとあふれ、僕の指先をびしょびしょに濡らした。  口中にある笑香の舌が苦しげに逃げ出そうとする。それをかまわず吸い立てながら、僕は指の腹で粘膜をなぞった。温かい液にまみれたひだの奥に通じる道を感じる。  やや強引な僕の指先に熱い内壁がひくついた。笑香の腰がぐっとせり上がる。  これが、笑香の……。ここに僕のを──。  そこまで考えて、僕は笑香から唇を離した。──もうだめだ。
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