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もう片方の笑香の腕が僕の背中へ回される。笑香を凌辱する夢の中では決して行われない行為。
ああ、と僕は思った。
僕は今、本当に、笑香に受け入れられている。
「本当に入れていい?」
馬鹿みたいに確認する僕に、笑香は再び花が開くように笑った。
「うん。……お願いします」
僕は自分の脈打つものに汗でぬめった手をそえて、笑香の奥に導いた。泥濘を先端で確認し、さらに奥へと続きそうな場所を濡れた感触の中で探し出す。
「あっ……」
笑香が声を上げ、目を閉じた。張り出した僕の敏感な部分をひだがまとわりつくように包み込み、僕も声を上げそうになった。だが、その前に、せめて、中に──。
ふくらみきった切っ先がぬるっと奥にめり込んだ。僕はその瞬間を逃さず、一気に自分の体重を乗せると笑香の中に突き入れた。
「ああああっ──‼」
笑香の声が耳元で響いた。
僕は自身を絞り上げている笑香を感じ取る前に、腰を動かして半分抜いた。全部入れたら、多分最後だ。だが体が勝手に動いて、再び深くねじ込んでしまう。
「あっ、はッ、ああ、しろうくん……!」
僕が体を揺らすたび、苦しげな笑香の呼吸が聞こえた。もっとゆっくりしてあげたいのに体が言うことを聞いてくれない。上手にできるかどうかではなく、僕は自分の体の手綱を取ることさえもできなかった。
その時、僕は体の芯からしびれるような衝動に襲われた。
「えみかっ──」
僕がうめくと、笑香は上気した頬に、切なそうな微笑みを浮かべた。
「しろうくん──」
僕を信頼しきったまなざしに、僕は自分の山より高いプライドが一気に砕け散るのがわかった。
──笑香は、どんなに情けない姿をその目の前で見せたって、決して僕を見捨てたりしない。
そう確信してしまったとたん、限界に限界を重ね続けた僕の高ぶりの切っ先は、今にも弾けそうなくらいにふくらんだ。
ああ。もう、だめだ。
僕は、ついに引き締め続けた自分の精神を解放した。
「ごめん、えみか、もう、でる……!」
それだけ言うと、僕は笑香の奥深くに、自分をすべて叩き込んだ。二度、三度、激しく勃起を跳ね上げながら熱いかたまりを放出する。
「ああ……っ‼」
僕は意識が飛びそうなくらい、恍惚とした瞬間を迎えた。波に洗われる砂山のように、今の僕を形作る鎧がさらさらと溶けて流れていく。
自分をすべてさらけ出し、笑香の前で無防備な表情をむき出しにして、僕は笑香を抱きしめた。
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