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もう二週間山中さんは現れない。そろそろかな~、曜日的には今日なんだけど──。
ところでタウン誌「福岡ぶらぶら」は隔週発行される。毎回何処かの美味しそうな店がギュウギュウに載っているけどさ、安くもない掲載費払って紹介してもらおうとする店のオーナーはこの雑誌が手に取られてからの〜行く末を知ってるのかな。
ああ、でも、一つこういう仮説はどうやろ。
もしかしたら 人って、パラパラとページを捲るだけで、知らない間にパラパラ見ただけの情報が記憶されるって可能性も無きにしもあらずじゃないか? ただ現時点ではその情報を取り出す能力が発揮出来てないだけ。おーっ! 本来サバン 症候群 みたいな能力がモレなく全員にあるのかもしれない ぞ。で知らぬ間にその自覚のない記憶に操られて掲載されていた店に、さも自分の意志で決めたみたいに誘導されるんじゃないか──っていうのは、いつもの馬鹿な妄想で、現実の俺はやり手の同級生の営業手腕に感心するしかないのだけど。
三日前「インタビューウィズゴースト」初回の原稿を送信した。夜な夜な、爺さんの幽霊が部屋に現れてブツブツ悔やみ事や恨み言をいうのを主人公が聞くという、一話完結物。もはやインタビューではない。書いていたらコラムでもなくなった。編集長の同級生にショートショート的な物語でもいいかとお伺いをたてると「何でも良いから埋めちゃって」だと。誰も読まんからか? おうそうかそうか、じゃ好きにさせてもらうけんな。で見切り発車で始めたってわけだ──。
どうやろか。
誰かがたまたま気まぐれにこのペラペラのタウン誌を仕事帰りに手に取って、パラパラ捲った中に俺のページがあって、それが瞬時にその誰かの目から脳に入って、神経パルスによって巨大ネットワークである神経細胞を駆け巡って、彼女か彼の無自覚の記憶になったり……するやろか(するだろうか)。
それからそれから、その誰かの頭の中の脳みその中の海馬のどこかの隅っこの隅っこにでも着床するやろか──知らんけど。
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