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許せ、紗弥香
俺は……
俺は最低の人間だ。
紗弥香こんな俺を許してくれ。
俺はお前をお前の喘ぐ姿を……
許してくれ!
あの……
その……
山中さんに見せてしまったんだっ!
お前のあの時の顔を。あの美体を。
幽霊の山中さんに。
反省文。
昨夜焼鳥食ってビールを飲んでたら、紗弥香が夜にしか見せないあの濡れた目で俺を見つめるものだから、もう我慢出来なくてチューしてそのまま押し倒して……。いつものように上になったり下になったり、表になったり裏になったりして戯れていた最中に、現れたんだよ。そう山中さんだ。やっべっと思って、チラリと時計を見たら丑三つ時だったのーー。
山中さんは最初、あっ!って顔したんだけどね、その後にニヤリとしたのさ。それで、俺は「続けて」って山中さんが言ってるみたいな気がして。ニャンニャンを続行したわけ。あっ!オイラ昨日はニャンニャンじゃなくてワンワンやったっけ。どっちでもいい? そうやね。
すみません。ごめんなさい。助兵衛な本性が出まくって、誰かに見られているかと思うとついついついつい興奮してしまったんだ。反省してる。ごめん。
「おはよう、早いね。もう起きてたと?」
「お、おー、紗弥香コーヒー飲む?」
「朝からサービス良いね」
「お、おー、まかせて」
「今日、お天気いいね」
「お、おー」
「お散歩日和やね…」
「おー」
で、山中さんは丑三つ時から丑四つ時まで、たっぷり三十分楽しんで消えて行ったのさ。男は死んでまでスケベなんだな。
消える前に「あ・し・た」って山中さんの口が動いた。そうか、分かった。インタビューは明日だな。山中さん、せっかく来てくれたのに悪かったな──いやいやいやいや、出血大サービスやんかっ!!
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