丑三つ時

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 俺が住んでいるのは、今をときめく住みたい都市ナンバーワンの福岡市の中の早良区西新という超庶民の町だ。俺はこの町の「ごった煮感」が好きで学生の頃からこの辺りに住んでいる。  十分もチャリンコを漕げば博多湾。福岡タワーもドーム球場もすぐ近く。野球のシーズン時は「かっ飛ばせー!かっ飛ばせー!」の大合唱だ。ドームの名称は今回三度目の変更で「福岡ペイペイドーム」となった。ドームの名称ペイペイはどうにも笑ってしまうが、とにかくソフトバンクは本当に強くなった。福岡の人間はまた自慢話が増えたってわけだ。    もともと福岡の野球といえば西鉄ライオンズ。ドームが出来る前は平和台球場ってのが別の所にあってね。屋根なんかないけど昔ながらのイイ球場だったよ。ガキの頃、親父によく連れて行ってもらったな。そこを拠点としたライオンズの全盛期は俺の生まれるずーっと前だけど、身売り身売りで最後は西武に売られ、結局ライオンズは福岡から去って行った。福岡の魂が一つ、時代とともに消えていったんだね。そんな涙涙のライオンズの喪失感を埋めてくれたのがホークスだ。福岡の野球ファンは再び命を吹き込まれたのだ。  おっとおっと本題からそれてる。  幽霊話から大きくそれてる。    じやそろそろ、この物語の主人公にして時々ルームメイトの、幽霊山中さんの話に移ろうか。あっ、言っておくけど、山中さんに「うらめしや〜」のお化け感は期待しないでくれな。ただのオッサンだから。
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