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インタビューの続き
俺は家に帰ると「インタビューウィズゴースト」の第二回の原稿を書き始めた。京都の料亭に板前修行に入った主人公とこいさんの恋物語だ。──身分違いという切なさが燃料となり燃え上がる板前見習いとお嬢様の恋。それがだな、本当は燃えているのは主人公一人だったんだ。こいさんは清純な見た目とは真逆の性悪女だったのさ。しかも騙されたのは主人公だけじゃない。新人の坊主が入店したら、ほぼほぼ、性悪のこいさんにたらし込まれる。その事は毎度の事だから古参の板前もこいさんの三人の姉さん達もみーんな知っているんだ。そして丁度良い頃合いを見計らって、全員共謀して偽手紙で坊主を食糧庫におびき出して、閉じ込めるのさ。闇の中に。一生涯続く心の闇の中にね。ほんの少しの悪戯心で。
ハッハッハー、タイトルは「こいさんはサイコパス」。
どうや、碌に読まれもせん物によう一生懸命になれるやろ──とか自虐的なセリフを吐いてしまう俺。斉藤、女々しかぞ。男らしくなかぞ。お前は九州男児やろうが。うん、分かった。もう言わん。ボクは二度と自虐とか口に出しません。斉藤、また独り言言いようぞ。あちゃっ!
お! もうそろそろ丑三つ時だ。電気消そうか。
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