サヨナラ山中さん(最終回)

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 ✶    「…と、言うわけで、紗弥香、泊めて……?」 「怖くなったん?」 「う、うん」 「泊まっていいよ」 「ほんと? 何日か泊まって良か?」 「何日でも泊まればいいやない」 「迷惑じゃなか?」 「…なわけないよ。ずーっと居れば?」 「ずーっと?」 「うん、ずーっと、ずーっと」 「ずーっと、ずーっと?」 「そう。ずーっと。ずーーっと」 「ずーっと、ずーーっ」  「もう何回言わせると? 結婚しようよ。悟」 「は? 紗弥香、そ、それってプロポーズ?」 「そう、逆プロポーズ」 「ええーーっ?!」 「女からしても、良かろ?」(いいでしょ?) 「お、おー」(まじか)  という訳で俺は、あの事故物件、いや正真正銘の幽霊アパートを去った。山中さんとサヨナラしたんだ。でも山中さんの言ったのが本当なら、どこに行っても日本中幽霊だらけって事。ただ波長が合うか合わないかの問題だ。とにかく俺は、もう誰の魂にも波長が合わない事を祈るだけだ。  あ、結婚?   したぜ。  どうかって?  言わんでも分かろ?  そう  想像した通り、  釈迦の手の平、いや、  紗弥香の手の平の上で転がされとーぜ。  ころころころーって。    それで万事良かろうもん。    (終)  
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