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「…と、言うわけで、紗弥香、泊めて……?」
「怖くなったん?」
「う、うん」
「泊まっていいよ」
「ほんと? 何日か泊まって良か?」
「何日でも泊まればいいやない」
「迷惑じゃなか?」
「…なわけないよ。ずーっと居れば?」
「ずーっと?」
「うん、ずーっと、ずーっと」
「ずーっと、ずーっと?」
「そう。ずーっと。ずーーっと」
「ずーっと、ずーーっ」
「もう何回言わせると? 結婚しようよ。悟」
「は? 紗弥香、そ、それってプロポーズ?」
「そう、逆プロポーズ」
「ええーーっ?!」
「女からしても、良かろ?」(いいでしょ?)
「お、おー」(まじか)
という訳で俺は、あの事故物件、いや正真正銘の幽霊アパートを去った。山中さんとサヨナラしたんだ。でも山中さんの言ったのが本当なら、どこに行っても日本中幽霊だらけって事。ただ波長が合うか合わないかの問題だ。とにかく俺は、もう誰の魂にも波長が合わない事を祈るだけだ。
あ、結婚?
したぜ。
どうかって?
言わんでも分かろ?
そう
想像した通り、
釈迦の手の平、いや、
紗弥香の手の平の上で転がされとーぜ。
ころころころーって。
それで万事良かろうもん。 (終)
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