丑三つ時

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丑三つ時

 俺が幽霊の山中さんと遭遇したのは、新年会でドンチャン騒ぎして帰宅しただった。丑三つ時は「うしみつどき」とただ字面で覚えている君、ここはちゃんと知らなくちゃいけないよ。丑三つ時は死後の世界に繋がると言われ、最も幽霊はじめ怪異なことと出会える素晴らしい時間なのだから。  まず「(うし)」から説明しよう。これが十二支の丑だという事は分かりますね。「えっ!そうだったの?」って。あ、ぜんぜん大丈夫です。    昔の時間は、今の時間の夜の十一時から二時間おきに子、丑、寅…と続くからここちゃんと覚えてよ。これは日本古来の「延喜法」という時間の表示法で、二時間×十二支で二十四時間を表してるんだ。昔の人が零時から子の刻を始めてくれていたら分かりやすくて助かったんだけど。ま、そこは向こうが先だからしょうがない。    とにかく夜の十一時から翌一時までが子の刻で、子、丑、と続くから丑の刻は一時から三時の事。一つの干支の二時間は更に一つ二つ三つ四つと刻まれる。二時間を四で割る。ここでは三十分という事がわかるだろ。で、やっと「丑三つ時」の時間が現代の夜中ニ時からニ時三十分の間という事が判明する。  で本題なんだけど、俺は新年早々幸先良いやら悪いやら、一月四日の「丑三つ時」に幽霊の山中さんと遭遇してしまったんだ。
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