巡り巡りて……

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 人生は一度きりの物語。  人間は死ねばその物語が終わる。  一度過ぎてしまった時はもう巻き戻す事が出来ない。  これらの事は当然当たり前のように思えるが、私の場合は少し異なっている。どう異なっているのか少し見てみよう。  まず「人生は一度きりの物語」という部分はあながち間違ってはいない。何度も人生を高校生時代からリスタートしてるのだから、その中の一度の人生を長編小説の短編と考えれば他の複数回の人生もまた全体の物語の一部と言えるだろう。  また「人間は死ねばその物語が終わる」も同じだ。私はこれまで数え切れない程の人生を生きてきた。その人生の数だけ私は死んできた。死ぬ寸前に見た光景、それが次に目を開けたら懐かしい実家の天井に移り変わっている。それが私の1つの物語が終わった事を表すピリオドだ。  次の話に進む前にもう少しだけ私について語っておこう。私、此内唯花(これないゆいか)、現役高校生です!まあまた死んでここに巻き戻された訳なんですけどね!今ベッドで寝ころんでいるけど、やっぱり若い身体は最高!腰痛とか疲労感も無いなんて本当に恵まれてるわ!  いきなり話が逸れたけど、まだ死んでからあまり間がないので許してください!久しぶりの若い肉体に興奮が収まらないんです!やっぱり年老いた身体とは違って、足がすぐ動くし老眼鏡も要らないなんて本当に夢みたい!  もしかしてこれ夢ですか?私まだおばあちゃんで若い頃を思い出してるだけとか?ほっぺたつねってみよう!痛い痛い!!やっぱり夢じゃないわ!痛みの伝わり方が洒落じゃないくらい速いし!やっぱり私、死んだんだ。
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