頽雪

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頽雪

そんな中学二年生の冬。 とある日の日曜日。 カーテンの隙間から差し込む光が顔に差し、眩しさで目が覚めた。 寝惚け眼をこすりながら部屋の窓に近づき、カーテンを開ける。 強烈な白が目を刺激する。 眩しさで細目になりながらも外を確認すると昨晩の今季一番の大雪のせいで、新しい雪がかなり積もっていた。家の庭は白銀世界になっていた。 今日は日曜日で学校もないし、特に用事もなかったが、外の雪景色を見て、今日は外には出ずに家で本でも読んでいよう。そう決心した。 両親は朝早くから隣町で一人暮らしをしている祖母の家の元へ行っており、起きた時点で家の中は私一人だった。 部屋の中は雪の影響で冷え切っており、先程までの布団の温もりが恋しい。 急いで石油ストーブのスイッチをオンにし、昨晩寝る前に読んでいた読みかけの本に手を伸ばす。 時間が経ってもなかなか暖かくならない室内。 本を読む手が冷たくなってくる。 そういえば今年はまだ電気毛布を出していなかったなと気づき、寒さに震えながらも庭にある古びた倉に足を運んだ。 代々専業農家だった我が家。 収穫した米の保管場所として使用していた穀物用の古い倉。 今は完全に物置になっている。 積もった雪をかき分けながら、倉の扉を開け、手にしたランタンの明かりを頼りに電気毛布を探す。 段ボールに入った電気毛布はすぐに見つけることが出来た。 早く温まった家の中に戻りたいと足早に倉を後にしようとしたとき。 倉の奥の方でパキッと音がした。 なんだろう。と足を止めて振り返った瞬間。 視界に映る倉の柱が歪み。上から重い何かが降ってきた。 そして私の視界は一瞬にして奪われた。
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