頽雪

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声は出ないままだが、ひとまず身体は健康に戻ったので退院することになった。 学校も明日から通っていいそうだ。 事故から数日ぶりに帰る家。 庭を見てみると私を押しつぶした倉と雪は、掘り返したような跡はいくつか残っていたが、ほとんどそのままになっていた。 あの事故の翌日からもまた雪が降り続いていたそうだ。 壊れた倉は雪が解けるまでこのままにしておき、春の雪が解け切った後に解体する予定とのこと。 倉と雪が崩れて出来た大きな雪山。雪から飛び出す折れた木材。 この塊の中のどこに私の声は埋もれているんだろう。 必死に雪を掘り返して探したいが、そんなことをしても無駄なことは分かっている。 明日から学校大丈夫かな。私は次の心配で胸がいっぱいだった。
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