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町の中心地から少し離れた場所に私の家はある。
小学校や中学校までの道のりも他の子たちと比べると少し遠く、
方向も違っていたため、帰り道はいつも一人だった。
それでも私は学校が大好きだった。
登校するときは一人でも、学校へ近づくにつれ、次第に聞こえてくる友達の声が好きだった。
しかし下校の時間だけは嫌いだった。
学校から出ると同時に段々と遠くなっていくみんなの話し声。
私もみんなとおしゃべりしながら帰りたい。
特に雪の降る冬は、道を分かれた後、みんなの話し声が聞こえなくなるのが早かった。
雪が音や声を吸い込んでいく。
真っ白で殺風景な道に残る、私だけの足音と足跡。
一人で帰る雪の帰り道は静かで冷たくてどこか不安になる。
いくつになっても、私はそんな雪が大嫌いだった。
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