瑞雪

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彼は私と一緒で家が町の中心からはずれにあった。 そのため、彼もいつも一人で帰っていた。 そんな彼はサッカー部に所属していた。 サッカーの練習の為、夏場までは通学路で出会うことがなかったけれど、 冬になってから運動場が雪で使えなくなる関係で帰る時間が一緒になることがあった。 始めて彼を通学路で見かけたのは中学一年生の冬。 夏はいつも一人きりだった通学路に同じ学校の制服を着た男の子が現れた。 最初はお互い距離を置いて歩いていたが、冬休みが明けた頃。 帰り道で凍った路面に足をとられて転んでしまった私に「大丈夫」と声をかけてくれたことがきっかけに、帰り道でお互い姿を見かければ一緒に帰るようになった。 中学二年生になった今では、冬になると自然と一緒に帰ることが当たり前になった。 みんなと帰り道が分かれ、友達の声が遠ざかっていくあの場所。 今まで寂しさを感じていたあの場所が、彼との待ち合わせ場所になっていた。 私の帰り道は寂しくなくなっていた。 それどころか冬になれば彼に会える。 静かで寂しく嫌いだった雪の帰り道がいつの間にか楽しみな特別な時間に変わっていた。 そんな彼ももうすぐ卒業。 中学を卒業したら町から離れ、市内の高校に入学し、寮に入るそうだ。 あと何回彼とこの道を一緒に歩けるのだろうか。
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