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目が覚めた時には視界は真っ白だった。
雪の白さかと思い反射的に恐怖を抱いたが、目に映った景色は天井と蛍光灯の光だった。どうやら病院のベッドの上のようだ。
よかった。目を覚ました。涙声の母の声が聞こえてくる。
視界に赤い目をした父が移りこんでくる。
おい、大丈夫か。と私の目を覗き込みながら体をゆすっている。
段々と意識がはっきりしてくる。
ふと雪に埋もれた時の記憶が鮮明に蘇る。
怖い!ばっと体を起こそうとしたが、まだ体が思うように動かない。
覚えてる?あなた丸2日間も寝ていたのよ。
大丈夫か?どこか調子悪いところはないか?
父と母が必死に呼びかけてくる。
覚えている。雪に埋もれた恐怖も冷たさも孤独も。
でも助かったんだ。よかった・・・。
そんなことを思いながら、父と母に「大丈夫だよ」と声をかけた。
つもりだった。
・・・あれ、声が出ない。
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