進路

1/1

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ

進路

 3年生になった。進路を決める時。私は迷わず専門学校への進路を希望する。タケちゃんは思いもよらぬことを言い出した。 『大学に行く』  タケちゃんのご両親は早大卒、お姉さんは青学現役生だった。高学歴家族。美容師の夢、専門学校への進学は許されなかった。  2年生に進級するのがやっとだったタケちゃんが、予備校に通い始めた。大学への進学は確定された。私は思いもよらぬことを思い始めた。 『こんなのタケちゃんじゃない』  親の言いなりになるタケちゃん。タケちゃんてそういう人だったの?それに美容師への思いはそれまでだったんだ。  なんか違う。  私のタケちゃんへの見る目が、みるみる変化する。その速度は速く、止まらなかった。  私は迷う。  こんな思いのまま付き合っているのは駄目だと思った私は、タケちゃんに別れを告げる。高校3年の夏だった。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加