『高校生』

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『高校生』

 5組のクラスメイトで、打ち上げが夜に行われることが決まっていた。みんな帰る準備に入る。ぞろぞろ教室を出ていく。教室を出たら、もう5組には戻れない。門を出たら、もう高校生には戻れない。  私も教室を出る。遠くの廊下にタケちゃんが壁にもたれて立っているのが見えた。ヤストのことを待っているのだろうと思った。  タケちゃんとも本当にお別れ。最後に感謝の言葉とか言おうかな。別れの握手ってやつなんかしてみようかな。でも振ったのは私だから、なんか偉そう。だけど私はタケちゃんに近付いた。  タケちゃんの前に立ち、私は握手をしようと右手を少し上げた。『ありがとう』と言おうとした。タケちゃんも右手を上げる。タケちゃんは言った。 「帰ろう。」  それを聞いた私は右手を下げた。何も言わず、私は左手でタケちゃんの手に触れる。タケちゃんは私の手を握った。  私達は手を繋いで帰った。  手を繋いで歩く、タケちゃんとのデート。高校生最後の、タケちゃんとのデート。  私の『高校生』は、全部タケちゃんだった。
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