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長い眠り
「…お、おい………!!…避けろ、女…!」
「え?」
ギアの言葉を聞いて、1秒も経たないうちに理解する。
私が、あの女に狙われているのだと。
………無理だ。避けられない。
「…悪いな。死んでくれ」
──…バァンッ!!
耳をつんざくような銃声と共に、尋常じゃない痛みが私を襲う………筈だった。
一番に目に飛び込んできたのは、赤黒い血飛沫。
………私の、ものではない。
「…バカ………かよ……」
そう言って、ドンッと大きな音を立てて、地面に頭を打ち付け倒れる青年。
…ここ最近よく目にする、オレンジ色の髪が目に入る。そして耳には、鎖のようなピアスを着けていた。
その青年の顔を恐る恐る覗き込むが、紅い瞳は見えなかった。
「…ザキ………ラ……??」
…青年の名前を、呼ぶ。………返事はない。
…いや、でも………ザキラは、不老不死。死ぬことはない。
………そう、死ぬことは…。
「無駄だよ」
「!!」
今、一番聞きたくない声が耳に飛び込んでくる。
………ああ、憎い。
あれが、自分の父親だと思うと…吐き気がする。
「いくら不老不死のバケモノであっても…深手を負った場合、長い間眠って治さなければならない。その怪我の場合は、そうだなァ。2、3年…といったところか?ハハッ!!」
「なっ………!!!」
「元々負っていた疲労なども重なり、治りは遅いだろうからなァ!それまで、お前はソイツの面倒を見ながら…」
『──俺らから、逃れ続けることができるのか…??』
「っ…!!」
ザキラは2、3年間………意識を取り戻さない…?
何かの、間違いだと……そう思いたかった。
そんな、私一人じゃあ…すぐに捕まる。
新たな敵も出てきたんだ。あの女、凄く優秀そうだった。
そんな人達から…逃れ続けるなんて……。
無理に、決まって───。
「…なぁ!」
「…?!な、なに…?ギア…」
「………俺にとって…お前らは、恩人だ。命の恩人でもあり…俺の、血族の…恩人でもある。だから………」
───俺に、お前達の手助けをさせてくれないか。
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