エラドール邸

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エラドール邸

──…上層区の中心に建てられた、堂々とした屋敷。 警備員が嫌というほど視界に入る。 共に身を隠している彼は、少し楽しんでいるように見えた。 ……現在、私とザキラはエラドール邸へやって来ていた。 ~ ~ ~ ~ 「………でも、それじゃあ…どうやって保護するの?」 疑問に思った私は、椅子に腰掛けている彼に訊いた。 すると、彼は口角を上げて、 「…俺が何年、生きてきたと思ってんだァ?メイドを保護して、気づかれる前にヴァイアルの奴らも保護するなんざ、俺にとっちゃ容易なんだよォ」 と、余裕の表情を浮かべていた。 …確かにザキラが走れば、メイドとヴァイアル両方の保護が間に合うかもしれないが…… 「………私は…ザキラみたいに、速く走れない。…また、足手まと──」 「──お前もしつけェなァ!足手纏いなんかじゃねぇって何度言やァ分かるんだよ!!別に、俺がテメェを抱えていきゃァいいだろォが!」 いつものように、怒鳴られる。 声がデカくて耳が痛いが、決して悪い気分にはならなかった。 …ザキラは、私を必要としてくれている。 ならば、私も答えなくてはならない。 「………そうだね…ありがとう」 「あァ、そうだァア!二度と足手纏いなんか言うんじゃねぇぞォ!!」 「………うん」 ~ ~ ~ ~ 「──んで、どうやって侵入すんだよ」 「…実は、バレずに中へ入れる、抜け道があるの。………こっちへ」 私は、抜け道のある場所を指差す。 それは、小さい頃によく使っていた秘密の通路だった。 私達は、そこから………エラドール邸へ侵入し、メイドを…探し始めるのだった──…。
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