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メイドと拷問部屋
「──…なァ、メイドって大勢居んのかァ?」
突然の、ザキラからの質問。
「………いや、ウチでは1人しかメイドを雇ってないよ」
「………へェ…」
ザキラの顔が曇る。
きっと、「大勢居たら1人居ないくらいバレづれェのになァ」とか考えているのだろう。
…それにしても、見かけないな。
一体どこに………
「………おい、開けろ…!俺の子孫に………手を、出すな…!!」
「あ?………この声…ギアか…?」
「…〝拷問部屋〟の方から、声がする…。………もしかして、お父様…!」
急いで、声のする方へ向かう。
拷問部屋の扉の前でギアは、膝をついて扉を叩いていた。
「──おい、お前。何してんだァ?」
「………この前の…?…お前の、せいで…!」
………その瞳は、怒りと悲しみに満ちていた。
そして、その矛先は………ザキラに向いているように思えた。
「…なァ、カーラ。何でコイツ怒ってんだよ」
「………ギア。ザキラは、私を助けに来ただけ。捕まった私が悪いの。だから、怒りを向ける相手は……ザキラじゃない」
「………」
ギアは、押し黙る。
ここで私を殺せば、拷問部屋にいるであろうメイドは……。
…だから、ギアは私に手を出せないんだ。
「………ギア。お父様が部屋から出たら…私達が、メイドを保護しに行く。だから、貴方に…お父様を拷問部屋に入れないよう、足止めをしてて欲しいの。」
「………何で…俺が……」
「……貴方の〝子孫〟を、助けるために…協力して欲しい」
「!!」
そう言うと、ギアは渋々了承してくれた。
…そして、お父様が部屋から出た後。
私とザキラは、拷問部屋へ入る。
──…そこには。
「………ひっでェ」
「……アルラ…」
ボロボロで、アザだらけで、かつての自分のような姿をしたメイド…『アルラ・ヴァイアル』が、そこに居た。
「アルラは………いつも私に優しくしてくれた…なのに、こんな…こんな………。」
「あ?何だお前、コイツのこと知ってんのかァ?………まァいい、早くヴァイアル邸行くぞォ」
「………うん…」
──…そうしてザキラは、私とアルラを抱えて…ヴァイアル邸へ向かったのだった。
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