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無意味
「ど、どうして………!ギア!人質は、もう…」
「…旦那様に………逆らウなら…おマ、エらヲ………コロす…」
「く、来んじゃねェエ………!!」
…ギアの様子が………おかしい。
人質を保護したのに、お父様側に付いている。
…それだけじゃない…。ギアは、お父様に洗脳されている………??
「…お父様。ギアに、何を飲ませたの……?」
「そんなの………お前ごときが知ることでもないだろ」
…自分の父親とは思えないほど、冷たい視線を向けてくる。
けれど、私に悲しみ…などという感情が芽生えることは無かった。
そこにあったのは…憎しみ。ただ、それだけ。
目の前の人間が…ただただ、憎たらしかった。
「……お父様」
「話しかけるな、鬱陶しい!!塵の分際で!!」
「…私が、塵なら…貴方は塵以下だということ、ちゃんと理解してる?」
「何を言う!?あまりにも舐めた態度をとれば、〝拷問部屋〟へ連れていくぞ!!」
目の前の人間への怒りで…頭が、どうにかなってしまいそうだった。
「別に…そんな脅し、もう怖くないよ。それに、もうすぐここに…警察が駆け付ける。舐めた態度をとってるのはどっちだろう?」
ただただ、目の前の人間を…殺し──…。
「………警察?そんなチンケな組織で…本当に俺を捕らえられると思っているのか?」
「………どういうこと?」
「まぁ、来たらわかるんじゃないのか?お前がどれだけ…無意味なことをしているか、ということを」
目の前の男は、余裕そうな表情を浮かべていた。
…警察を呼んだ、というのは……嘘だ。
その場しのぎに過ぎない。…けれど。
一つ、新たな情報が手に入った。
───…エラドール家に、警察は無意味。
理由は予想できる。金で繋がっているのだろう。
…ところで、ザキラは何処に行ったのだろう。
さっきから、叫び声が聞こえない。
…と、思っていた矢先──。
「──来んじゃねェっつってんだろォ!!」
「…コロス………ころス…こロ、ス………。」
「ザ、ザキラ………!!」
ザキラは──…今にも、ギアに………
───…首を切られそうになっていた。
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