16人が本棚に入れています
本棚に追加
最低で、残酷で、塵以下の人間
「ザキラっ!!!?」
「い゙っ………!!」
ゴトン、と。何かが、地面に落ちる。
その〝何か〟とは………ザキラの腕だった。
………ザキラの腕が、ギアに……切られていた。
「…殺ス………こロ、す…逆ら、ウ…ヤツハ…。」
…どうやら、ザキラはあまりの痛みで理性を取り戻したらしく。
「…カー、ラ……?」
…と、私の名を呼んだ。
「俺ァ…どんなに、ぐちゃぐちゃに、されようとォォ……不老不死だかんなァ、元通りになんだよォォ………」
「……」
「けどなァ………テメェ、は……」
…ザキラが、私に何を言いたいのか。簡単に……予想できた。
『逃げろ』
………そう、言いたいのだろう?
ギアは、自我を失って………最早、不死身の殺人兵器だ。
私なんか………一瞬で…。
「ハハッ、ハハハハハ!!そうだ、ギア!お前は俺という歯車を動かすだけの道具!!さぁ、早く………!!あの二人を捕らえろ!!」
………道具…。…そんな、言い方。
……やっぱり…お父様は…いや、あの男は……最低で、残酷で………塵以下の人間だった。
まぁ、そんな男の…娘である私も、きっと塵のような奴なのだろう。
………だとしても。
あの男よりは………腐ってない。
………だから。
「………ザキラ、ごめん」
「バッ………お前っ…!!!」
──私は、逃げない───…!!
最初のコメントを投稿しよう!