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<前編>
『叶わぬ恋を、必ず成就させます!やり方は簡単、おまじないで“コイガミ”様にお願いするだけ!!』
なんともまあ、胡散臭い文言であることか。おまじないが好きなのは事実だし、実際そういうものを探してネットサーフィンをやっていたのも確かことではあるけれど。そのホームページを見た時、一番最初に感じたことは一つであったのである。
つまり。こんなものを信じたら、私が馬鹿みたいじゃないか、だ。
コイガミ様、とやらのおまじないを載せているホームページが、広告がガツガツに載っている無料サーバーで、しかも全体ドピンクのセンスのないデザインをしていたというのもあるだろう。既存のテンプレートさえ殆どいじっている気配がない。はっきり言って、プロが手掛けていないのは明白である。企業のサイトでもなんでもなく、個人の“ 自称・凄腕占い師”がやっているだけというからそれは仕方のないことなのかもしれないが。
「ほんとにこんなものに効果あんの?胡桃ぃ?」
高校のパソコン室は、基本的に学業と調べもの以外では使うなと言われているが。実際のところ、こっそりヨウチューベを見たり、ツニッターのようなSNSにアクセスしている生徒は少なくない。私と親友の胡桃もまさにそれで、今日も今日とていつものように居残っては二人仲良く好きなサイトを見て盛り上がっているのだった。
今のご時世だ、二人とも家にパソコンはあるしスマートフォンもあるにはある。が、お互い家族がうるさくて、ネットを少し長い時間やっているだけでガミガミ叱られてしまう状況にあるのだ。居間にパソコンがあるせいでこっそり使うことも敵わないし、毎回一時間ずつ、なんて面倒な制限をつけられている。テストが近いから余計に勉強していないと喧しい。
そしてスマートフォンも。親の金だからあまり文句も言えないとはいえ、パケット代が安いプランで契約させられてしまっているせいで長時間やるとすぐ速度制限がかかってしまうのだ。家のWi-Fiはどうにも安定しない。4Gだとすぐに制限にひっかかる。結果、こうして二人仲良くこっそり勉強しているフリをしてパソコン教室に入り浸る日が続いているのだった。
私達は似た者同士だ。食べ物やマスコットなどの好みから、成績が低空飛行気味であるところまでよく似てしまっている。ついでに勉強が大嫌いなところも、だ。本当に、あんな面倒な数学だの物理だのが一体社会の何に役に立つというのか。海外に行く気もないから、英語だって使う機会があるとは思えない。机にかじりついて眠気と戦ってまで勉強する意味が、正直私には全くわからなかったりする。
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