ブラッディバースデー

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 何の罪もない子供のためにも、家族のためにも早く犯人を逮捕しなければ。学校やPTAに連絡を入れて協力を仰ぐか?  悩んでいたら偶然にも、俺の同僚の知り合いが今日、子供の誕生日なんだという。  昨日の今日で狙いに来るか?俺も同僚も下っ端の警察官だが、賭けてみた。向かうのは俺と同僚の2人だけ。上司には一応声はかけてあるが、俺達は非番かつ独断ということで適当にあしらわれた。  早く捕まえなければならないのをわかっているくせに、俺達が犯人と出会わないと思っている。そのうえこの天気か。朝からずっとザーザー降りの雨の中、同僚と現場に向かう。  犯人には“幸せな家庭”や“誕生日”に深いこだわりがある。自分の過去に相当嫌な思いをしたのか?家族全員を惨殺するんだ、かなりの憎悪を感じる。  それに、女や子供はともかく犯人は割と屈強そうな父親をも一撃で仕留めている。手練れだ。訓練を積んでいなければ、鋭利な刃物で一撃で仕留めるなんてできない。  自衛官か軍隊、警察などの経歴のある男。犯人については、それくらいしか今はわかっていない。  自分に繋がるあらゆる証拠、遺留物を何一つ残さない。手口は荒業ながらも冷静、それが厄介だ。  おまけに、この街に住む自衛官や軍隊、警察などの経歴を持つ男をビッグデータから“幸せな家庭”や“誕生日”に恨みがある者を探してはみたが。  結果は、今の俺達の状態を見ればわかるだろう。
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