短編集~プリズム 桜の木の下で

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 二人を祝福するように桜の花びらが舞って、左手薬指に落ちてきた。  「婚約指輪みたい……」  小さく笑うと、彼も苦笑しながら静かに腰を抱いてきた。  「それは帰ってからだね。女の人は好きな指輪を欲しがるって教わったんだ。  あ、男の先輩だよ」  慌てる彼が可愛くて、(いと)しい。  「分かってるから」  苦笑を返すと彼はホッとしたように(うなが)してきた。私は、彼が促す方向に歩き始めた。  満開に咲き誇る桜の花が、私たちを祝福するかのように輝いていた。                                 おわり
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