144人が本棚に入れています
本棚に追加
二人を祝福するように桜の花びらが舞って、左手薬指に落ちてきた。
「婚約指輪みたい……」
小さく笑うと、彼も苦笑しながら静かに腰を抱いてきた。
「それは帰ってからだね。女の人は好きな指輪を欲しがるって教わったんだ。
あ、男の先輩だよ」
慌てる彼が可愛くて、愛しい。
「分かってるから」
苦笑を返すと彼はホッとしたように促してきた。私は、彼が促す方向に歩き始めた。
満開に咲き誇る桜の花が、私たちを祝福するかのように輝いていた。
おわり
最初のコメントを投稿しよう!