私が化け猫になった理由

2/2
前へ
/2ページ
次へ
私は元々ただの猫だった。 耳が垂れていたり、ジャンプが苦手だったり、雪が好きだったり… 少し猫らしくない部分もあったが、 それでもただの猫だった。 しかしある日、私は猫達に「変わっている」「バケモノだ」と言われるようになった。 猫達の輪に入って行けなくなった私は、化け猫になる事にした。 本当のバケモノになったのだ。 それから私は、色々なものに化け、上手く立ち回った。 馬の集団の中では馬に、魚の集団の中では魚に…… 様々な集団に合わせた「あるべき姿」に化けるのだ。 そんな生活を続ける内に、私は様々な変化を遂げた。 馬のように早く走れるようになり、 魚のように水の中で息が出来るようになった。 邪魔な爪は捨て、猫ならではのジャンプ力はすっかり弱くなった。 そうして私は、最早猫ではなくなった。 今の私は一体何だろう。 すっかりバケモノになった私は、慌てて仲間を探し始めた。 少しでも違和感のあるもの、「あるべき姿」から外れるものを必死で探した。 すると、仲間は意外と簡単に見つける事ができた。 あいつも、あの子も、彼も、彼女も… 私は、そこでようやく理解した。 「ああ、皆バケモノだったのだ」と。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加