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私は元々ただの猫だった。
耳が垂れていたり、ジャンプが苦手だったり、雪が好きだったり…
少し猫らしくない部分もあったが、
それでもただの猫だった。
しかしある日、私は猫達に「変わっている」「バケモノだ」と言われるようになった。
猫達の輪に入って行けなくなった私は、化け猫になる事にした。
本当のバケモノになったのだ。
それから私は、色々なものに化け、上手く立ち回った。
馬の集団の中では馬に、魚の集団の中では魚に……
様々な集団に合わせた「あるべき姿」に化けるのだ。
そんな生活を続ける内に、私は様々な変化を遂げた。
馬のように早く走れるようになり、
魚のように水の中で息が出来るようになった。
邪魔な爪は捨て、猫ならではのジャンプ力はすっかり弱くなった。
そうして私は、最早猫ではなくなった。
今の私は一体何だろう。
すっかりバケモノになった私は、慌てて仲間を探し始めた。
少しでも違和感のあるもの、「あるべき姿」から外れるものを必死で探した。
すると、仲間は意外と簡単に見つける事ができた。
あいつも、あの子も、彼も、彼女も…
私は、そこでようやく理解した。
「ああ、皆バケモノだったのだ」と。
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