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「あれ、先生、お腹いっぱいですか?」
高い声に、はっと我に返る。
不思議そうな表情のヘーゼルがアレックスを見ていた。朝日に照らされ煌めく金髪が、昨夜の月明かりに照されていた姿と一瞬被りぎくりとする。
慌てて逸らした先、自身の朝食の皿はほとんど手付かずであった。下ろしたままだったカトラリーを持ち上げる。
「いえ、少し寝起きでぼうっとしていたみたいです」
「先生、朝が弱いのぼくと一緒なんだね」
えへへと可愛らしくヘーゼルが笑う。
側についているメイドが微笑ましそうに言った。
「仲が宜しいんですね」
「うん。僕、アレックス先生のこと大好きなんだ」
ーーーこのクソガキめ。
どの口が言うかと内心ぎりぎりとしながら、アレックスは無心で朝食を口に詰め込んだ。
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