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朝食後はヘーゼルの勉強の時間となる。 車椅子に乗せたヘーゼルを部屋まで運ぶのは、家庭教師であるアレックスの役目であるのが通例となっていた。 車椅子をヘーゼルの部屋に運び入れる。 部屋に入る直前、廊下の左右を見渡して誰の姿もないことを確認する。 ばたんと扉が完全に閉まり切ってから、アレックスは口火を切った。 「…どういうことです」 「なあに?」 車椅子に乗ったヘーゼルが不思議そうにアレックスを振り仰ぐ。 固い表情のまま、懐から紙を取り出したアレックスは手の震えを押し殺して詰問した。 「この紙に書かれていることです。今朝の周りの様子だと誰かに告げ口したわけでもない。まさか、私を泳がせているつもりですか?」 車椅子に収めた身体を縮こませて、ヘーゼルが不安そうに弱々しく言う。 「先生、一体どうしたの…? いつものアレックス先生じゃないよ…?」 「とぼけるんじゃない! これに…、これに書かれているのは…」
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