黒王子に不可能はないらしい

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 横浜駅がそろそろ近づいてきた時、その男は急にコンビニの駐車場に入った。  私はやっと外に出られると思い、バッグとコートを手に取り車から降りようとした。 「ちょっと待てよ!」  その男は、いつの間にか私のバッグを握っていた。涼し気な顔をしているくせに、バッグを握る力は半端なく強い。 「は、離してください…  警察、呼びますよ…」  その男はバッグから手を離すと、今度は私の腕を力づくで掴んだ。 「そんなに俺の正体を知りたいなら、明日教えてやる。  それでいいだろ?」  明日?? 明日まであなたに会いたくありません。  っていうか、何故、今、言えない?  なんて、さすがに言えません。 「ス、ストーカーみたいな事、しないで下さいね…」  私はそんな挑戦的な言葉を残して、車の中から飛び出した。  こ、怖い… 何なのあの人…?  でも、不思議と、私は私の腕を掴んだあの人の綺麗な手を思い出していた。  怖いけど、綺麗な人…  明日、また、拉致されないよう気をつけなきゃ…
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