黒王子に不可能はないらしい

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 そんな怖いを思いをした翌日、私は周りを気にしながらやっと会社にたどり着いた。  昨日の横浜からの帰りも、挙動不審者のようにドキドキしながら家路についた。何だかとっても疲れて、シャワーも浴びずに寝てしまったくらい。  とにかく今日を乗り切れば、というより今日あの男と会わなければ、また普通の生活に戻れる気がする。  みっちゃんとランチを済ませてデスクに戻ると、部長が私を見つけて大慌てで走ってきた。 「竹内さん、すぐに51階に行って」 「51階? 51階に何があるんですか?」  私は部長が50階と勘違いしているのだと思い、慌てふためく部長に冷静にそう聞いてみた。 「51階だよ…  実はこの会社は51階のフロアも持ってるんだ。  51階には、会長室、社長室、専務室しかない」  部長の言っている意味が分からずにポカンとしていると、 「大至急、専務室へ行くこと。  竹内さん、何かしでかしてないよね…?」
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