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私はとりあえず革張りのソファにちょこんと座った。
かなりのパニック状態のはずなのに、私は図々しくも置かれているワイングラスに細かい氷の粉でキンキンに冷やされたワインを注ぐと、それを一気飲みした。
酔わなきゃやってられないという思いと、仕事中に何飲んでるの?という冷静な思いが、交互に私の行動を責め立てる。
いやいや、飲んでる場合じゃないよ…
早く逃げ出さなきゃ…
急にそう思い立った私は、グラスをカウンターに置き入口に向かって走り出した。
早く、早く、逃げなきゃ…
でも、私が自動扉の前に立っても、扉はピクリとも動かない。どうやら中からのセンサーを止められているみたいだ。
何が起こっているのか分からない状況にげんなりと肩を落としたその時、その扉は示し合わせように急に開き始めた。
「お、ビックリした。
何でそんな所に立ってるんだ?」
だ、誰? この人??
私の前に立ちはだかるこの男は、不敵な笑みを浮かべてモデル級の立ち振る舞いで私を見下した。
「横浜に行くんだろ?
俺が車で乗せて行ってやるよ」
二人のイケメンマッチョを引き連れたこの男は、一体、何者なの??
それに、一人のマッチョさんはさっきのコンシェルジュだと思っていた優しそうなあの人…?
そう思ったのもつかの間、私はイケメンマッチョの二人組に拘束されその男の車に押し込まれ、丁寧にシートベルトまでしてもらった。
「いってらっしゃいませ~~」
……わ、わけ分かんないですけど!!
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