黒王子の弱点はどうやら私?

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私もほとりという名前が大好きだ。 もちろん、おじいちゃんが付けてくれた事も知っている。だからこそ、専務に気付いてほしかった。 おじいちゃんが私にほとりという名前をつけてくれた理由は、この美しい湖のほとりを守るんだぞってそういう夢を託してつけてくれた事を。 「俺は日本に帰って来て、このまんだら湖周辺が異様に価値が上がっている事を知った。 他の企業には絶対譲らない。 そう決めてから、この場所を手に入れるために様々な機関に調査を依頼した。 そしたら、うちの会社にそこの娘が就職している事を知った。 竹内ほとり… その名前だ、間違いないってね」 東郷さんが言ってたように、どのみちこのまんだら荘はどこかに買収されてしまうのかもしれない。 でも、それは、カミルリゾートじゃない。 おじいちゃんの気持ちを考えれば、この葛西龍之介だけには絶対に渡したくない。 恩を仇で返すとは、きっとこういう事… おじいちゃんは専務を可愛がっていたのかもしれないけど、こういう結末を望んだわけじゃない。
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