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「…私が、ここのおじいちゃんの孫だと分かって、専務はどんな気持ちだったんですか?
専務にとっては大切な人だったはずの孫を弄んで楽しかったですか?
ある日、突然、縁もゆかりもない御曹司が私に近づいてきて、おかしいと思いました…
私の実家も、親も、私の心まで弄んで、用がなくなればポイって捨てる…
そんな企みで近づいてきたのなら、そんな人間として最低な専務に、このまんだら荘は、絶対、絶対、何があっても渡しませんから!」
もう我慢できなかった。
おじいちゃんや、お父さんお母さんの事を想えば、涙が次から次へと流れてくる。
本当は見られたくないのに…
専務と戦っていかなきゃならないのに、こんなめそめそしてどうするの…?
すると、専務は、そんな私を無視して、湖面に平べったい石を滑らせる。
「誰が、ポイっと捨てるなんか言った?」
私は流れる涙を指で何度も拭いながら、専務の後ろ姿を見ていた。
「ポイって捨てるわけないだろ…?
だって、俺とほとりを結婚させるって、あのじいさん達は約束を交わしたんだから」
は?
え~~~~??
「そ、それってどういう事ですか…?
って言うか、専務はそんな馬鹿げた話を信じてるとか?」
私は急激に動揺しながらそう聞いた。
「……だって、しょうがないだろ?
異を唱えたくても、二人とも死んでいないんだからさ」
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