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黒王子の弱点はどうやら私?
「専務、本当にもう帰って下さい」
あんなにドギマギするほどの甘いキスを交わした後も、専務は何もなかったようにこたつでくつろいでいる。
私のキュンキュン高鳴るときめきは、専務の変わりっぷりに戸惑いを隠せない。
専務にとってのあのキスは、私の減らず口の口封じのおまじないだったのかもしれない。でも、私にとってのあのキスは、専務の魅力に跪くほどの今までに味わった事のない強烈なものだった。
そして、そんな専務は、また私に命令されて機嫌を悪くしたのか、座椅子にふんぞり返って私と目を合わせない。
「本当に困るんです…
私、明日からの三連休を使って実家の旅館に帰る事になってて、だから準備をして早く休まなきゃ、明日が早起きなので…」
この二月、三月は常連のスキー客が多く訪れるため、我が家の一番の繁忙期だ。そして、お客様は私が受付にいればとても喜んでくれる。だから、この時期の週末は、できるだけ時間を作って実家の手伝いに行く事が多かった。
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