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黒王子の胸キュンを奪いたい
は…?
私の頭は真っ白になっている。
専務の重大発表に、全ての思考回路が停止した。
「俺はガキの頃から、じいさんに何度も言われてた。
お前はまんだら荘のほとりちゃんと結婚するんだぞって。
それが、自分とまんだら荘のおじいちゃんの夢なんだって」
専務は足元に落ちている石ころを拾い、平べったい石を選別している。
まるで、自分にとっては何でもない事のように夢中になって…
「で、でも、それは、おじいちゃん同士のただの口約束で、私達が従わなきゃいけない理由はないと思います」
専務は最高にいい石を見つけたらしく、目元を細めている。そして、湖めがけて滑るように投げた。その石は何度も弾みながら、湖の先の方まで飛んでいく。
「口約束かもしれないけど、俺の記憶には確実に刻まれてる。
二人とも幸せそうな顔をして、幼い俺達の行く末を想像して楽しんでた」
私は馬鹿らしいと思った。
まだつき合ってもいないのに結婚なんて言われても、その魂胆はまんだら荘目当てだとしか思えない。
え?
まんだら荘目当て??
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