黒王子の胸キュンを奪いたい

1/38
1120人が本棚に入れています
本棚に追加
/209ページ

黒王子の胸キュンを奪いたい

は…? 私の頭は真っ白になっている。 専務の重大発表に、全ての思考回路が停止した。 「俺はガキの頃から、じいさんに何度も言われてた。 お前はまんだら荘のほとりちゃんと結婚するんだぞって。 それが、自分とまんだら荘のおじいちゃんの夢なんだって」 専務は足元に落ちている石ころを拾い、平べったい石を選別している。 まるで、自分にとっては何でもない事のように夢中になって… 「で、でも、それは、おじいちゃん同士のただの口約束で、私達が従わなきゃいけない理由はないと思います」 専務は最高にいい石を見つけたらしく、目元を細めている。そして、湖めがけて滑るように投げた。その石は何度も弾みながら、湖の先の方まで飛んでいく。 「口約束かもしれないけど、俺の記憶には確実に刻まれてる。 二人とも幸せそうな顔をして、幼い俺達の行く末を想像して楽しんでた」 私は馬鹿らしいと思った。 まだつき合ってもいないのに結婚なんて言われても、その魂胆はまんだら荘目当てだとしか思えない。 え? まんだら荘目当て??
/209ページ

最初のコメントを投稿しよう!