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『万叶神社の願届人の復活だね。万叶神も復活して、これで神社は安泰だ』
はしゃいぎながらそう言った志貴を、鈴音は抱え上げ、頬ずりをした。
『ありがとうございます~~~っ!! 可愛い~~~っ!!』
『ぐぇ……』
そうして、万叶神に見送られ、二人は地上へと戻った。戻るなり、志貴はすぐに人の姿になる。
ここで判明したのだが、志貴には何の影響も出ないが、鈴音はそうはいかなかった。
鈴音は神使姿の志貴がいれば人の姿でも水に潜れるが、戻ってきた時にはビショビショになっている。巫女装束は水を吸って重くなり、鈴音の肌に貼りついて体温を奪っていく。
『さむっ!』
すぐに家の中に入ろうとするが、初めて水の中に入ったということもあり、緊張が解けて腰が抜けたようになっていた。なかなか立ち上がれない鈴音を見兼ね、志貴は背中を向けてしゃがむ。
『鈴音ちゃん、掴まって』
『え……?』
『そんな濡れ鼠じゃ、風邪ひくから』
『すみません。……ありがとうございます』
鈴音はおずおずと志貴の背にしがみつく。それを確認し、志貴はスックと立ち上がる。
志貴はそのまま鈴音を背負い、家へ送り届けた。
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