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「テメェ..今日という今日は許さねえからな..」
「うわぁ..御免、ごめんッてば、ごめんなさい、」
「何が御免、だよ。何も悪いなんて思ってねーだろ。」
「いや、思ってるよ、思ってますよ」
「じゃあ何が悪いか、なんで俺が怒ってるか、言ってみろよ」
数秒、数分、体感では一時間以上経った。目の前で正座した儘眉を顰めて思考を巡らせているであろうこの男、この遣り取り、何度しただろうか
「分かってねーんだろ?」
痺れを切らして問うた言葉、出会って何度目だろうか
「う、..えへ、ごめーんね?」
こてん、と効果音でもつきそうな、全く反省の色もない男の頭に拳を落としてやった。慣れた痛みだろうが、俺はまだこの痛みに慣れていない。
──────── 〜
時間は遡る事約三時間前、元々約束していた事もあり男の家に来た、合鍵も持っている仲だ、勿論合鍵を持つ以上の仲でもある。鍵を開けていつも通り入れば何度目か見た光景、
「..」
「...、」
扉の開いた音に驚いたのか此方を見る、四つの眼。寝慣れたベッドに、男が二人、一人は見慣れ触れ慣れた男。一人は見たことの無い男。
「あらぁ..もうそんな時間?ふへ、ごめん、二発目は勘弁ねぇ、」
男の肩を掴んで起き上がり床に落ちたスウェットを着始める、見知らぬ男のソレも気分を表すかの様に落ち込んで俺を気にしつつ皺くちゃの服を着て出て行った
「..」
「本当ごめんね、時計壊れちゃっててさぁ..」
──────..〜 そこに座れェ !
..
そして現在。
「なんで殴るの、?」
「いや逆になんで殴られないと思ってンの?」
「恋人じゃん..」
「なら尚更刺さない恋人持って感謝するんだな。」
此奴の思考は理解が出来ない。
付き合ってから数ヶ月、もうすぐ一年という頃だ。けど此奴の、所謂「ビッチ」は治る様子がない。高身長で人当たりが柔らかく、基本鈍感なのか何も考えていないのか分からない男、誰の懐にも簡単に入ってしまう質の所為で言い寄られる事も少なくない、普通、正常なら断るだろ。断らないンだこの男は、数ヶ月前に初めて流血する程殴ってやったら泣きながら「俺浮気なんてしてない!」なんて吐かしやがる
「..な、ねぇ、..足、結構痺れてる、」
「..煩い。浮気性治るまでそうしてろ、」
「俺、浮気なんて一回もしてないのに、..まじで、感覚無くなってきてるよ」
「御前の感覚、まじで理解出来ねーわ。」
耐えきれず倒れて何とも言えない足の痺れに悶える姿に思わず吹き出してしまえば終わり、俺の足に纏わりついてへらへらと笑って見上げてくる、
「纏わりついてくンなよ、邪魔だ」
「とか言いながら振り払わないの優しいよね、足の痺れ収まったらご飯食べに行こ?俺が奢ってあげる!」
「..足の痺れ収まったらまず、風呂入れ」
多分、最初から其れを許してる俺は此奴に惚れてるし、傍から言わせれば俺の感覚もおかしいんだろうな、..最終的此奴の戻る場所が俺であればいいか、って
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