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「私は、晴太くんが思ってるほどいい人でもないし、私とあなたに未来はないからよ。晴太くんには幸せになって欲しい」
「僕は……あなたといたいんです」
「私じゃ、晴太くんを幸せにできない」
「そんなことは望んでいません。僕が、あなたを」
「私は……私は雪斗に復讐したくてあなたと一緒にいただけよ」
私の言葉に驚き軽蔑するだろうと思っていた晴太くんは、ただ俯いた。でも、すぐに顔を上げる。
「どうしたら、気が済みますか? 僕にできることなら手伝います。優里さん」
本当の名前を呼ばれて驚き、言葉に詰まった。
「……知ってたの? いつから?」
「忘れるはず、ありませんよ。再会した瞬間に顔を見てすぐ分かりました。驚きましたよ。既婚なのかを知りたくて名前をきいたら、“さちこ”。いや誰だよって」
「名乗れるわけ、ないじゃない」
今までの、晴太くんの行動に合点がいった。そして私は、酷く情けなくなった。
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