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『新郎様をお呼びしますか?』
『はい! お願いします』
あの悪夢はもう7年も前、私が25歳の時のことなのに、私の心には深い傷が残ったままなのだと、思い知る。
ボリュームたっぷりのプリンセスラインのウェディングドレスに身を包み、友人に親族にと、100人越えの大掛かりな結婚式当日。
完全に幸せの絶頂だった私は、式まであと数分というところで新郎がいなくなったと知らされた。
なにその冗談! と笑っていた私の前には、気の毒そうな表情のスタッフと、青ざめた両家の両親が揃った。
『ごめん。雪斗』
たった一言残された手紙を見た時、頭の片隅で気がかりだったことと繋がった。その瞬間、さっと血の気が引き目の前が真っ暗になった私は、その場に倒れて気を失ってしまった。
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