2度目の花嫁

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「あのね、私、知ってたの。雪斗が前の彼女を忘れられてないこと。それでも付き合って欲しいって言ったのは私。それでも結婚して欲しいって言ったのも私。だから私が撒いた種なのよ」 もう、自嘲するしかなかった。 「それでも、付き合うのも、結婚も、決めたのは兄ですよね。それをこんなギリギリで投げ出すなんて、最低です」 控えめな印象だった晴太くんが顔を上げ、私の目を真っ直ぐに見て、はっきり言うものだから、少し驚いた。 「そうね」 この子の前じゃ泣けないと思うのに、ほんの少し、寄りかかりたくなった。 そこへせかせかと母が戻ってきた。そして、「私たちは先に帰りましょう」と言った。 晴太くんは、所在なさげに部屋から出ていき、私は着たばかりのウェディングドレスを褒められることも、お披露目することも無くあっけなく脱いだ。 それからどうなったのか私は聞かされなかったけど、確か見積もりで500万円を超えていた費用は、全て向こうが持ってくれたらしい。
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