一本の電話

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一本の電話

……ハァ、今日もだ。 弱いトレーナーに勝負を挑まれ、そして勝ってお金を貰う日々。 …嫌気しかしない、この世界は負けたらお金を払う。 このシステムは別にいい。 だが、勝ったとは言え少年少女からお金を取ると言うのは気持ちのいい行為ではない。 ……かといって、アルバイトとかしても即クビだしな。 なんつーか、人とウマが合わないと即喧嘩になっちまう。 嫌だねぇ……。 タバコに火をつけ、ふと夜空を眺める。 ……昔は俺も憧れてた、ポケモンマスターに。 必死に頑張ってジムリーダーに勝った喜び、時には負けた悔しさや悲しさなんかを分かち合ってたな。 それが気がついたら、今はそこら辺のトレーナーから金を巻き上げる(と見られても仕方ない)毎日。 生きてるのか死んでるのかの日々……食うだけの金と、宿泊分の金、この2つさえあれば困ることはない(例外言うとしたら服とかだろうか) 大人になるってこう言うことだろうか、夢や目標があっても、現実の前に打ちのめされて無気力になる……。 Prrr……。 ん、電話だ。 珍しい、俺の電話に着信があるなんて。 「はい、もしもし……刹那です」 「元気にしてるかしら?番号が変わってなくて良かったわ……」 電話の相手が少し安堵したのが分かる。 「覚えてるかしら、私の事を」 「えぇ、それはもう。覚えてますよ」 「そう、それは良かったわ。 実は貴方に話したいことがあるの。 そっちの都合はどうかしら?」 「いつでもどうぞ」 「なら、明日の昼に会いたいのだけれど……貴方は今どこに居る?」 「コガネシティですね、ちょうど電話がなかったらスロットに行こうとしてました」 「そう、コガネシティね……分かったわ。 なら明日、ヤマブキシティに来れるかしら?」 「えぇ、了解しました。 …リニアに乗って向かいます」 「お願いするわね、それじゃ、詳しいことは明日会ってから話すわ。 じゃあね」 電話は切れた。 さて、リニアの発車時刻はっと……。 5分前が最終電車、だと?ツキが無かったか……。 まあいいや、近くのポケセンに泊まって今日は朝まで過ごすか。
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