飲みにいきましょうよ

1/1
前へ
/16ページ
次へ

飲みにいきましょうよ

後輩の大介くんが、しつこく、誘ってきました! 「ワールドカップ観たいんだけど!」私は断ります、「ちょっと、ちょっとだけ、行きましょうよ」仕方ない、世話になっている後輩の頼みだから少しだけ、付き合おう、と何時もの飲み屋に行きます、生ビールと濃厚酎ハイを5杯飲んで、私は、少し酔いつつも、約1か月前に購入した怪しく白く輝く車に乗りました。そう、中古車なのに異様に白く光沢が有り皆が不思議がっていたのです。 大介君を自宅に送り、薄暗い夜道を急いで車を走らせました、早くワールドカップ観よう、と、その瞬間、目の前にアライグマが現れました、あぁ~曳いてしまう、と私は思いましたが、ブレーキを踏まずアクセルを離しただけ、でした、アライグマなら車の下をすり抜けると思ったから....予想は的中して彼等は無事に車の下をすり抜けたのをバックミラーで確認しました、が、その直後、凄まじい衝撃音と共にフロントガラスが割れたのです? いったい、何故?巨大な物体が微かに見えたのですが、私は、アライグマ?まさか鹿まで出たのか?、まいったな?と、ゆっくり車を路肩に寄せ降りると、ひしゃげた自転車と人間が遥か後方に倒れていたのです。近づいて声を掛けましたが、その人が致命傷を負っているのは明らかでした。脳の髄液と血液がドロドロ流れ、私は、助からない、と判断しました。 しまった、取り返しのつかない事をした、と後悔しましたが、私の中の悪魔が囁きます。 (早く現場を処理して死体を埋めろ、危険運転致死は10年以上の懲役だぞ)と、私は、冷静に散らばる残骸を処理していると、後続車に発見され、咄嗟に救急車を呼んだのです。 後続車に乗った女性は看護師でした。彼女は、「まだ、脈があるわ、助かるかもしれない」と気休めを言いましたが、私は、無理だと理解していました。何故なら、私は........だからです。酔いが覚めるように警察には敢えて連絡しませんでした。 そして、携帯しているアルコールチェッカーに息を吹き掛けると、その数値は0.28であり、酒気帯びのレベルを超えて飲酒運転のレベルでした。 あの作戦で行こう、私は呼吸の練習を繰り返しました。鼻から空気を吸い肺に入れずに口から吐く呼吸方法です。 救急車とパトカーは、殆ど同時に現れました。私は、数人の知人、家族に連絡しました。被害者の搬送先が決まらずに、私は苛々しましたが、何処でも彼の命を救う事は無理だと考え申し訳ない気持ちと、何故、道路の真ん中を走っていたのか疑問に感じたのです。 そして、何故、発見出来なかったのか? 混乱する頭で考えても解りません。 今は血中アルコール濃度の測定をクリアする事に集中しようと考えたのです。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加