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1階のリビングに行くとお父さんがビールを飲んでお節料理を食べていた。春菜の顔を見るなりお屠蘇を飲めと言う。春菜は丁重に断って、洗面所に行き体重計に乗った。朝の体重と夜の体重をグラフにつけていこうと思ったからだ。体重は50、3キロだった。
春菜のお母さんはスリムだ。お父さんが太っているので遺伝子を引き継いでいるんだと思っていたが体形は遺伝ではないとテレビでやっていたのを見てしまった。じゃあ、単純に食べすぎなんだ。そう思って夏は節制したのだが体重は変わらなかった。そんなある日、朝のワイドショーで芸能人がヨガで痩せてガリガリでテレビに出ているのを見たのだ。これだと思った。
前置きが長くなったが、春菜は本気なのだ。だから元旦の朝は、ごぼうをちょっと食べただけで、また自室に行き瞑想を始めた。2時間ほど瞑想した後、色々なキツいポーズも頑張ってやった。ファンヒーターを点けていたので汗を大分かいた。お父さんがお笑い番組を観ながらだと思うが笑っている声が下から聞こえて来た。春菜は耳栓をすると、精神を統一しようと目を閉じた。
2日の朝に体重を計ると、49、5キロだった。やったと思った。昨日はごぼうしか食べてないので当然かもしれないが、ヨガの効果が出たんだと思った。継続は力なり。目標の芸能人がどれくらいの期間ヨガをやっていたのか分からないが、あれだけやせ細るのは尋常ではない気がする。
今日もごぼうを食べた。不思議と昨日より甘辛く感じた。お母さんに訊いたら同じものだと言われた。舌が本来の味覚を取り戻しているのかもしれない。チャクラが開いて白い世界が見られるかな。春菜はワクワクして来た。
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